できるけどやらない

大学院を卒業して就職したときは与えられた仕事をこなすのに必死だった。 自分の能力なんて全然分からず、できるか分からないけれどもとにかく与えられた仕事をやりきろうとした。

しばらく経つと自分のポジションで必要とされる技術が身についてきた。Ruby はまぁ学生の頃から書いてたけど、Rails の知識だったり Web の知識だったり AWS の知識だったり。 そうすると自分が何をできるのか徐々に分かってきて、社内で改善したいことが色々見つかり、自分にできることを色々やるようになった。 この頃は多少の優先順位は考えつつもやりたいことを色々やらせてもらった。 その過程で自分にできることが更に少しずつ広がっていった。

またしばらく時間が経って、チームが変わって目標が変わり、自分のポジションも変わった。 技術面でもそれ以外でもできることは更に広がっていた一方で、自分がやらなければならない仕事も増えたし、チームがやらなければならない領域も広がった。 このあたりで自分の生産性の限界にはっきりぶち当たったように感じた。 つまり、やりたいこと、できること、やったほうがいいことの量に対して自分が限られた時間内に実際に取り組める量のほうが明らかに小さくなったのを感じた。 そこで自分の中で意識的に自分の時間に対する重要度を判断するようにして、自分の時間を使うほどの重要度は無いと考えたものは触れないようにした。 自分で取り組まないようにするのはもちろんのこと、やりたいことやできることの中には他の同僚が取り組んでいることも含まれていて、「自分はこうしてほしいのに」と思う箇所があったとしても口を出さないようにすることが増えた。 自分の主張をぶつけて議論や再検討に時間を使うよりもお互いに別のことに時間を使ったほうが良さそうかどうかを強く意識するようになった。

これは今現在の話なので、良かったのか悪かったのかはまだ分からない。 ただ、こうやって「できるけどやらない」判断を意識的にしていないと、限られた時間の中で何も生み出せなくなっていたようには思う。